こんにちは、院長の成田です。
今回は歯科医院にて必須アイテムの一つである真空攪拌器についてお話をさせていただきたいと思います。
石膏模型は石膏の元になる粉末と水を混ぜ合わせて、水和反応が生じて硬化することによって作られます。
料理でもレシピがあるように石膏にも種類よって分量や製作方法が細かく決められています。
以下に当院が使用している石膏の商品説明を添付します。
[使用方法] 1)粉末100gに対して23mlの水(標準混水量)を計量すると強度が高く表面の滑沢な模型が得られます。
2)計量した水を容器に入れ、計量した粉末を静かに散布投入し てください。一度に投入すると気泡を抱き込むので、徐々に
均一に投入してください。
3)手練和は、10~20秒静置したのちスパチュラ等で約60秒間、むらなく均一に行ってください。
真空練和(減圧練和)は、水と粉末をよく馴染ませてから約60秒間、 機械練和を行ってください。練和には、真空練和を推奨します。
4)練和した石こうを、採得した印象・型枠等に注入してくださ い。注入する際にバイブレーターを使用すると、気泡の少ない模型が得られます。
5)注入後、アルジネート印象材では約30分、ラバー系印象材 では約60分で模型を取り出せます。
ここで見てほしい項目はいずれの方法でも約60秒間練和しなくてはならないということです。
小麦粉に牛乳を混ぜ合わせる料理を作ったことがある方ならわかりますが、相当きついです。
これを型どりの度にやっていたら手が疲れて腱鞘炎になっちゃいます。
料理では手練りを回避するために電動のミキサーがあります。皆さんのご承知の通りかと思います。
しかしながら、歯科では電動で石膏を練っている医院はごく少数です。はたして毎回約60秒も石膏を手練りしているのでしょうか?
しかも、石膏を勉強していない歯科衛生士さんが石膏模型を製作していることが多いのが現状です。さらに歯科助手さんが見よう見まねで石膏を練っていたりするケースも散見されます。歯科医師自らが石膏模型を製作・管理しているケースは稀です。
これでは良い作業用模型ができるはずがありません。その結果、模型上ではぴったりでもお口の中に入ると合わない銀歯などが出来上がるわけです。
歯科技工士さんは歯科医院から与えられた石膏模型上でぴったりに作ってきてくれます。患者さんに会ったこともない、お口の中を見たこともない歯科技工士さんたちはこれ以上はできません。与えられた模型を信じて銀歯などを作るしかないのです。
では、なぜこんなにも便利で必須なアイテムを導入しないのでしょうか?
そうです。導入費用が高い!費用のことを明記するのは多少憚られますが、当院で導入している真空攪拌機は約75万円です。
手練和であれば無料なわけですから、経費の差は一目瞭然です。悲しいことに➕αの設備に投資するほど全国の歯科医院は潤ってはいません。本当は必須なんですけど。。。
もっとお話ししたいことはあるのですが、
いかに石膏模型の精度が大切か、練和が重要な項目なのかを知っていただきたく、
ブログを書かせていただきました。